感染防止の基本となる手洗いですが、とりわけ食事の前とトイレの後の手洗いが感染予防が有効だったというのは歴史から見えてきます。
ペストが流行した中世でユダヤ人だけ被害が少なかったわけ
中世でペスト禍がヨーロッパを襲いますが、なぜユダヤ人は被害が少なかったのか
ペストの大流行は1370年ごろまで続きましたが、ヨーロッパ全体での犠牲者は、総人口の3分の1とか4分の1と言われていますが、歴史的に見て記録を取る体制自体が十分整っているとは言えない状況なので、正確な数字は明らかではありませんが、ある説では当時のヨーロッパの総人口を約1億として、死者は2500万程度と推定しています。
このペストについては、当時の人々は流行の原因がわからず、一部ではユダヤ人が井戸に毒をまいたからだ、などという根拠が不明瞭な噂からユダヤ人に対する虐殺が起こったりもしましたが、その噂の根拠の一つとしてユダヤ人に限って犠牲者が少なかったのもあって、何かあるのではと疑われていたという側面もありそうです。
手洗いの習慣が明暗をわけたのです
なぜユダヤ人は犠牲者が少なかったかというと、ユダヤ教の戒律に食事の前とトイレの後に手を洗うことというものがあるのです。それに対して当時のヨーロッパでは手を洗う習慣はありませんでした。
この状況が意味するものは、食事の前とトイレの後に手洗いをすることが感染拡大の予防に効果があることを示すものではないかということです。
当時のユダヤ人でも手洗いが感染予防になるとは知らなかったでしょうが、戒律上の理由で手を洗っていた結果として感染が抑えられ犠牲者が少なくなったということなのでしょう。
これについて中世の社会では科学的に裏付けるだけの学術も技術もありませんでしたから検討される余地もなかったので、色々な憶測が飛び交ったのでしょう。その結果として噂が生まれ、虐殺に及んだという状況にあったと考えられます。
手洗いは感染防止のための基本
手洗いが効果的な理由は、手に付いたウイルスを洗い流して付着しているウイルスの量を減らすためで、手洗いという行為自体が「除菌」のための行動なのです。
目に見えないウイルスは、どこで手に触れているかわからないのです。
食事をしたり無意識に口や鼻を触った時に、体内にウイルスが入るリスクが出てきます。そのリスクを抑えるためにはなるべく手についたウイルスを除去しておきたい所です。石けんやハンドソープでしっかり手を洗うことが、ウイルス感染予防の基本になります。
ハンドソープなどがなくてもまず水だけで洗うことで流して減らすことができるので、ひとまずは手洗いを習慣づける方が感染予防になります。
一見ありきたりの感染防止策のように思えますが、むしろ日常の生活の中に感染防止の行動を組み込むという面では有意な対応と言えます。

